オンラインで修士号を取得した人のブログ How I got MPH

仕事をしながら修士号を取得したことをまとめたブログです。2015年8月にUniversity of Liverpool Master of Public Health course に合格。2018年12月に卒業。

2年間オンライン授業を受けて思ったこと~新型コロナのニュースを見て~

はじめに

ここ数週間、学校の休校のニュースが飛び交い、以下のコメントをTwitterのタイムラインで拝見しました。

  • なぜ海外のようにオンラインで授業を展開しないんだ?(煽りサイド。主に小学校の休校に対して)
  • 大学では、こんなようなオンライン授業を準備してるよー(大学生向け)

私は、2015年10月から2018年12月まで、イギリスのリバプール大学の公衆衛生大学院の生徒でした。実際にイギリスに住んでたわけではなく、online studentとして、

  • 1年半、オンラインで講義を受け
  • 1年弱、オンライン修論指導を受けながら、修士論文を書きました。

その経験から、昨今のニュースを見て感じたことを書いていきます。

目次

ビデオ授業だけが授業じゃない

 Zoomのユーザーが、3か月で20倍になりました。

 ZoomとGoogle Hangoutsの通信量の比較表も話題になっています。
オンライン講義の通信量 - UTDH / 東京大学人文情報学

実際にキャンパスに行けないので、動画で授業だ!という流れを散見します。

しかし、私が受けていたオンライン授業は基本的にはテキストのコミュニケーションが中心でした。

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理由は、オンラインで参加している生徒のインターネット環境がばらばらであることと時差もあることだったと思います。

同級生は、カナダ、トリニダード・トバゴ、ジャマイカ、セントルシア、ナイジェリア、スイス、南アフリカ、韓国といろんな国から参加していました。

個人的体験だけをベースに語るのもよくないと思いつつ、長年オンラインの授業を提供している大学院が、テキストを中心にした授業を進めていることを是非お伝えしたいです。今からオンライン授業を計画されている方には、テキストを中心にした授業の方も考慮いただけると嬉しいです。

イメージとしては、Google Classroomが一番近いと思います。

 

提出物と評価のサイクルは、短いほうがいい

テキストが中心の授業だったことを前提にお伝えしますが、提出物と評価のサイクルはとても短かったです。

授業は、Unitという単位で構成され、1授業4Unitsから8Unitsでした。

1Unitは、2週間のプログラムで、

  1. 初めの4日間で課題図書・文献を読み、Word1枚程度のレポート提出。
  2. 次の3日間は、クラスメートが書いたレポートにコメントしながら、ディスカッション。
  3. 次の1週間で、課題図書・文献、ディスカッション内容を参考にして、少し掘り下げたテーマに関してレポート(Word 2-3枚くらい)

という形で進められ、Unitが終わった3~5日以内に(次のUnitの1 をやっている間に)、授業の参加の姿勢とレポートの内容の評価が返ってくる仕組みでした。

2週間単位で課題とその評価をしっかり管理されているので、まじめにやっていれば脱落することなく自然と力がつくプログラムはとても良かったです。

 

先生と生徒、生徒同士のカジュアルなコミュニケーションの場も大切

1つの授業は、4Units から8Unitsで構成されているということは、2ヶ月〜4ヶ月一緒に先生と生徒と過ごすことになります。

授業の初めに、必ず自己紹介の掲示板(スレッド)があります。そこでは、

  • いまやっている仕事(online studentsのほとんどの人が仕事をしながら勉強しています)
  • その授業のどんな部分に興味があるのか?
  • 家族構成や最近の関心事、趣味

などについて話をします。

たとえオンラインであっても、数ヶ月一緒に同じ課題をやっていると気の合う人が出てくるもので、未だにfacebook messengerでやりとりする友人もいます。

大学院側が、カジュアルなコミュニケーションの場を授業内で提供してくれるのは、とても助かりました。

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卒業式で初めて実際に会ったクラスメート。2分で意気投合しました。

 

フェアなダメだしを

テキストを中心にした授業で、フィードバックサイクルが2週間だと、授業内容の理解しきれないときもあります。

授業内容が理解できないときに、仕事や家庭の忙しさもあって、理解した風にごまかしてしまうことがあります(僕もやったことがありますし、クラスメートもやってました)。

そのとき、教授や講師が

  • 「この部分に関しては、researchが甘いからもっと調べてね。」
  • 「なにがわからないか、きちんと書き出して、質問してね。」
  • 「あなたは、このUnitでは明らかに努力が足りない。このままだと単位はあげられないよ。」

と掲示板の中で、サクッと言ってくれます。

自分が言われたときは背筋が凍る思いですが、クラスメートが言われてるのを見るときは「あぁ、フェアに評価されてるなぁ、がんばらないと(困ってたら助けてあげないと)。」と思ったものです。

授業における良い悪いの判断軸を、クラス全体でオープンに示されるのは、学習を継続していく上で大切だと思いました。

 

最後に

教える側のご準備と教わる側の不慣れな環境での学習、ともに苦労をお察しします。

私が受けたのは大学院の授業で、小学校や大学でのオンライン授業とは違うかもしれません。

ただ、私個人がオンライン授業について思ったこととして

  • 動画が中心じゃなくても勉強はできる
  • 課題とフィードバックサイクルは短いと、学習効率があがる
  • オンラインだけでも、友だちは作れる
  • 評価はオープンだと、やる気が出る

ということです。

すでに4月なのでブログをポストするのが遅かったかもしれませんが、、、オンライン授業を準備してる方の参考になれば幸いです。

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