オンラインで修士号を取ろう!The Road to Get MPH

IT企業で仕事をしながら、公衆衛生の修士号を取得するまでのブログです。2015年8月にUniversity of Liverpool Master of Public Health program Management of Health Systems course に合格。

オンライン大学院で修論を書き切った話

4月の更新から、2ヶ月ほど空いてしまいました。

修論について、「振り返ろう、振り返ろう」と思っていたのですが、修論を提出してから、力尽きていました。

修論を出し終えてから、

  • 本業(IT企業)がそこそこ忙しくなった
  • GWにニューヨークに旅行にいった
  • 娘のつかまり立ちが日に日に激しさを増し、家がてんやわんや
  • ジムに週1回いくようになった
  • 複業(一般社団法人)で、研修事業を開始し、第一回目を実施した

という変化がありました。

修論を出し終えて、うまくリフレッシュして楽しんでいるようにみえますが、正直オンライン大学院の2年半の疲れが抜けません。夜に勉強をしていた習慣が抜けきらず、夜はいつもそわそわします。働きながら大学院に通った弊害でしょうかw (いつになったら、疲れが抜けるのか・・・。)

前置きはこのくらいにして、リヴァプール大学公衆衛生大学院で私が体験した修論の道のりをまとめてみます。

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スケジュール

論文の構成

どの大学院も一緒だとは思いますが、リヴァプール大学のMPHで求められた論文の構成も書いておきます。

  • CHAPTER 1 - Introduction and Background
  • CHAPTER 2 – Research Question, Aim, Objectives, Epidemiological Approach and Methods
  • CHAPTER 3 – Results
  • CHAPTER 4 –Discussion and Conclusion

論文を書いてみての、感想

上記のように書くと、「4章しかないじゃーん」って感じですが、ひとつひとつはヘビーでした。

ひとつの章を1ヶ月弱で書いて指導教員にレビューしてもらう形式でした。レビューしてもらう間に、次の章を書きました。各チャプター3回ずつレビューしていただきました。

Chapter 1には、Literature Reviewが含まれているのですが、最低20論文をピックアップしてまとめる必要がありました。条件に合うのが20論文なので、300論文くらいは読みました。 300のabstractを2日で読みました。。。

Chapter 2を書き終えたあたりから、Chatper 3の分析も開始。正直、統計の分析がかなり苦手で、精神的に追い詰められました。。。(詳しくは、こちら

そんなとき、僕を救ってくれたのがTwitterでした。通りすがりの優しいお方(YOSUKE INOUE (@Yosuke_INOUE) | Twitter )が、分析方法をご教示くださいました。もう、神にしかみえませんでした。本当にお世話になりました、帰国したらお礼させてください。

Chapter 4では、「あとは、まとめるだけっしょ!」と高をくくっていたら、考察が甘いと指導教員から最後の気合が。もう、なんか、はじめの一歩でデンプシーロールを繰り出すときのイッポくらい、追い込まれてました。

1月〜3月で、 3 versions × 4章。加えて、4月に4章をマージした状態で、2 versions。計14回、指導教員にWordを提出しました。途中、にっちもさっちも行かなくなって、2回ほどSkype会議もしました。いやはや、先生も仕事とはいえ、こんなに根気強く指導をしてくれた指導教員には感謝しかないです。

 

論文を書いているときに、詰まった箇所

1. Proposalでの精度 

正直、修論計画なんて、トピックと目的が決まっていればいいでしょ?と思ってました。

現実は甘くなく、Literature Review, Study design, Sample Size, Variables to be collected, methods を決める必要があり、膨大な調査をしました。

また2回トピックを変更した経緯は以下のとおりです。

  1. 1回目は、既存のデータセットでは結果が出にくそうで、やるとしてもPh.Dでやるべきだというフィードバックを受けての変更。
  2. 2回目は、トピック選びと難易度はよかったものの、先行研究がたくさんされていて、私が入るスキがなかったため、自ら変更。

そんなこんなで、Proposalは、ver. 13 まで書いてました、トホホ。

2. Secondary data からの対象項目の抽出

Proposalが、プログラムコミッティーからも、倫理委員会からもOKが出て、やっと生のデータを触ることができます。

いざ、SPSS(統計ツール)のデータを見てみると、sampleの条件と定義にするのに時間がかかりました。

そもそも、

  • 利用するデータセットに詳しくないので、全体を把握するのに時間がかかり、
  • 必要なデータだけを扱いやすくするために抽出します。

加えて、

  • Proposalで定めたVariablesのみで、結果が出るとも限らず、他のVariablesも先行研究をもとにピックアップし直し。

Dependent Variableに対して、各independent variableがどのくらいmissingしているかなど、Secondary data からの対象項目の抽出する前処理に、めちゃくちゃ苦労しました。

※基本的に、英語で勉強したため、該当する日本語を知らず。。。ルー大柴感が否めない。

3. sampleの数の妥当性

調査対象の分布(何%くらいが〜なのか)から、妥当なサンプル数を求める便利なサイトがあります。

OpenEpi Menu

こちらを利用したのですが、そもそも、どの項目を使えばいいか、はじめはわからなかったり、

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最適なmenuがわかっても、menuに適切な数値を入れられているか、めちゃくちゃ不安で何回も実施しました。そして何回も間違ってて、指導教員に直されましたw

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4. Literature Review 最低20本の壁

Proposalを2回も書き直したので、先行研究があまりないトピックを選ぶことができました。そうすると、逆に困ったのがLiterature Review。

「トピック×地域×Publishされた年代」で、大学のデータベースに検索をかけると、あまり多くの結果が返ってきませんでした。地域の範囲と年代を広げながら、300以上の論文を対象にして、結果として20本の条件に該当する先行研究を選ぶことができました。

5. regression modelの選定

私が統計の授業をきちんと頭に入れておけばよかったのですが、いざ自分の研究に適切な統計手法を選ぼうとすると、何が正解かわからなくなります。

先行研究から、regression model (回帰モデル)を使うことはわかっていたのですが、Linear regressionなのか、Simple regressionなのか、Logistic regressionなのか、かなり迷いました。

教科書をひっくり返して、先行研究を見て、指導教員に質問しながら、logistic regressionにたどり着くことができました。

6. Logistic regressionも手法がいっぱいある問題

Twitter経由で井上さんが救ってくれたのは、このあたりです。。。

Logistic regressionまでたどり着いたはいいものの、このモデルは、3つの手法に別れていました。

  • forced entry
  • stepwise backward
  • stepwise forward

しかも、この3つの違いは、ググってもググっても明確な答えがありませんでした(たぶん)。指導教員に訊いても「あなたが正しいと思う手法で分析して、その理由を書いてね♫」の一点張り。

結局、全手法で分析して、自分なりの答えをきちんと見つけることができました。

7. 書いても書いても、修正修正修正

詰まった箇所というより、しんどかったのは、一度書いたものを書き直す行為です。指導教員のフィードバックはかなりヘビーです。

フィードバックを読んで理解するのに、2時間使い、そこから再調査、書き直しのステップを踏みました。

Twitterがないとやっていけない状態で、途上国で働く助産師 (@improve_MCH) | Twitterとのやりとりがとても良い息抜きでした。

 

以上7つが、論文を書いているときに、詰まった箇所です。いやー、きつかったです。

 

論文を書くメリット

メリットは3つありました。

  1. 英語の読み書きのレベルが大幅に向上したこと
  2. 公衆衛生の論文を書いたという自信を持てたこと
  3. 得意不得意を改めて認識したこと
1. 英語の読み書きのレベルが大幅に向上したこと

英語で修論を書くと、いやでも英語のレベルは上がります。まず、論文を読む量が圧倒的に増えるので、語彙が増えますし、洗練された英語の使い方を覚えることができます。

実際に、書き直しを通じて、自分の文章の癖を掴むことができます。積み重ねることで、スッキリした文章を短時間で書けるようになります(そうは言っても時間はかかる)。

2. 公衆衛生の論文を書いたという自信を持てたこと

私は医療に関連する業界で将来働いていきたいと思っています。そのうえで、公衆衛生かつ定量分析の論文をどうしても一本は書きたいと言う想いがありました。

それは、名刺に「MPH」と書ける日がくるときに、「その道の素人ではないですよー」と言いたいだけですが、わたしにとってはそれが「言える」ことが大きなことでもあります。

書いたという事実は、大きな自信になりました(まだ審査終わってないけど)。

3. 得意不得意を改めて認識したこと

そのうえで、やっぱり統計的な分析は不得意だなーと実感しました。逆に私は、仕事の中で人と人との間で起こる課題の解決や、業務オペレーションの改善が得意です。

分析のアウトライン、分析結果の読み方は最低限見つけることができましたが、研究者/アナリストとしての生計を立てるのは難しいと改めて認識しました。

実際のフィールドで、切った張ったを繰り返しながらやっていきたいと思います。

 

まとめ

  1. 修論を書き終えて2ヶ月経っても、疲れは取れません。
  2. はじめての修論計画から、修論提出まで1年以上かかりました。
  3. 詰まった箇所は多数。乗り越えるのに、Twitterが必須でした。
  4. メリットもあります。書く価値はあります。

これで、「オンライン大学院で修論を書き切った話」を終わります。思ったより長くなりましたが、振り返ってよかったです。

ちゃお。